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サイバー攻撃の新たな脅威:北朝鮮のビットコイン窃盗部隊の実態と対策

北朝鮮のサイバー攻撃部隊:6000人規模の驚くべき実態

近年、サイバーセキュリティの世界で新たな脅威として浮上してきたのが、北朝鮮によるビットコイン窃盗です。米国のサイバーセキュリティ企業FireEyeの報告によると、北朝鮮は約6000人規模のサイバー攻撃部隊を編成し、主に韓国の仮想通貨取引所や関連サイトを標的にしているとされています。

この部隊の規模と組織力は驚くべきものがあります。一般的な企業のIT部門と比較しても、6000人という数字は桁違いに大きいものです。例えば、一般的な大企業のIT部門の規模が100〜500人程度であることを考えると、北朝鮮のサイバー部隊がいかに巨大で、国家レベルの重要性を持っているかがわかります。

さらに注目すべきは、この部隊が最高指導者の金正恩氏によって直接統括されているという点です。これは、北朝鮮がサイバー攻撃を国家戦略の重要な一部として位置づけていることを示しています。

なぜ北朝鮮はビットコインを狙うのか?

北朝鮮がビットコインを含む仮想通貨を狙う背景には、主に以下の要因があります:

  1. 経済制裁の回避: 国際社会からの厳しい経済制裁により、北朝鮮は外貨獲得が困難になっています。仮想通貨は、これらの制裁を回避する手段として利用されています。

  2. 匿名性: ビットコインをはじめとする仮想通貨は、取引の匿名性が高いという特徴があります。これは、資金調達やマネーロンダリングの手段として非常に魅力的です。

  3. 低コストでの資金獲得: FireEyeの分析によると、北朝鮮は仮想通貨を「外貨を稼ぐ、極めて低コストのソリューション」と考えているようです。実際、サイバー攻撃によるビットコイン窃盗は、物理的な犯罪と比べてリスクが低く、潜在的な利益が高いのです。

  4. ビットコインの価格上昇: 2017年以降のビットコイン価格の急騰も、北朝鮮の関心を引き付けた大きな要因です。価値が上昇する資産を狙うことで、より大きな利益を得ることができるからです。

北朝鮮のサイバー攻撃の実態

北朝鮮のサイバー攻撃は、主に以下のような形で行われています:

  1. 仮想通貨取引所への攻撃: 韓国の仮想通貨取引所「ヤピゾン」から約3,800BTC(当時のレートで約17億円相当)が盗まれた事件は、北朝鮮の関与が疑われています。

  2. ランサムウェア攻撃: 2017年に世界中で猛威を振るった「WannaCry」というランサムウェアは、北朝鮮が関与していたとされています。このランサムウェアは、感染したコンピュータのデータを人質に取り、ビットコインでの身代金を要求しました。

  3. フィッシング攻撃: 仮想通貨ユーザーを狙ったフィッシングサイトの運営も、北朝鮮のハッカー集団の活動の一部だと考えられています。

これらの攻撃は、ビットコインの価格上昇に連動して行われる傾向があり、2017年以降、攻撃の頻度が増加しています。

対策:個人と組織ができること

北朝鮮のサイバー攻撃から身を守るためには、個人レベルでも組織レベルでも、以下のような対策が重要です:

  1. セキュリティ意識の向上: サイバーセキュリティに関する教育と訓練を定期的に行い、組織全体のセキュリティ意識を高めることが重要です。

  2. 多要素認証の導入: 仮想通貨取引所やウォレットへのアクセスには、必ず多要素認証を使用しましょう。これにより、パスワードが漏洩しても、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。

  3. ソフトウェアの最新化: OSやアプリケーションを常に最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を狙った攻撃を防ぐことができます。

  4. 不審なリンクやメールに注意: フィッシング攻撃に対しては、不審なリンクやメールを開かないよう注意が必要です。特に、仮想通貨関連の情報を求めるメールには細心の注意を払いましょう。

  5. コールドウォレットの使用: 大量の仮想通貨を保管する場合は、オフラインのコールドウォレットを使用することで、ハッキングのリスクを大幅に減らすことができます。

  6. セキュリティ監査の実施: 組織レベルでは、定期的にセキュリティ監査を実施し、潜在的な脆弱性を特定・修正することが重要です。

北朝鮮のサイバー攻撃部隊の存在は、デジタル時代における新たな国家間の緊張関係を示しています。個人や組織が適切な対策を講じることで、こうした脅威からある程度身を守ることは可能です。しかし、根本的な解決には、国際社会が協力して、サイバー空間における法の支配を確立していくことが不可欠でしょう。

サイバーセキュリティは、もはや専門家だけの問題ではありません。見えていないだけで、確実にサイバーセキュリティへの脅威は増え続けています。つまり、私たち一人一人が、デジタル社会の一員として、自身の安全を守る責任を持つ時代が来ているのです。

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