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【2025年最新】サイバー攻撃の「初期アクセス」手法を徹底解説 - 企業が今すぐ強化すべき防御策

サイバー攻撃の入口となる「初期アクセス」とは何か

サイバーセキュリティの世界では、攻撃者がシステムに最初に足がかりを得る「初期アクセス」が極めて重要です。この段階で防御に成功すれば、後続の攻撃活動を未然に防ぐことができます。

初期アクセスとは、攻撃者がターゲットのネットワークやシステムに最初の侵入口を確立することです。これは多くの場合、攻撃の連鎖(キルチェーン)の最初のステップとなります。攻撃者はこの段階で、組織の防御を突破するための様々な手法を駆使します。

初期アクセスの手法は年々巧妙化しています。かつては単純なマルウェア添付メールが主流でしたが、現在では高度に洗練された手法が次々と登場しています。特に注目すべきは、テクノロジーの進化に伴い、攻撃者も常に新しい侵入経路を模索している点です。

では、現在最も警戒すべき初期アクセス手法とは何でしょうか?次の章で詳しく見ていきましょう。

最も警戒すべき5つの初期アクセス手法

1. フィッシングとソーシャルエンジニアリング

最も一般的かつ効果的な初期アクセス手法は、依然としてフィッシングです。攻撃者は巧妙に偽装されたメールを送信し、受信者に悪意のあるリンクをクリックさせたり、マルウェアが仕込まれた添付ファイルを開かせたりします。

最近のフィッシング攻撃は非常に高度化しており、次のような特徴があります:

  • 実在する企業や組織を精巧に模倣
  • 時事問題や緊急性を装った内容
  • ターゲットの個人情報を活用した「スピアフィッシング」
  • チャットやSMS、SNSなど多様な経路を活用

ある企業では、CEOを装った「緊急の支払い指示メール」により、経理担当者が数百万円を詐取されるという事例がありました。このケースでは、攻撃者はCEOの出張スケジュールや話し方の特徴まで把握していたのです。

2. 脆弱性の悪用

パッチが適用されていない既知の脆弱性は、攻撃者にとって格好の侵入口となります。特に公開サーバーやVPN、リモートデスクトップなどの外部に公開されているサービスの脆弱性は、積極的に狙われています。

3. サプライチェーン攻撃

サプライチェーン攻撃は、直接のターゲットではなく、そのサプライヤーや使用しているソフトウェアを経由して侵入する手法です。

信頼されているベンダーの正規アップデートに悪意のあるコードを混入させることで、そのソフトウェアを使用している多数の組織に同時に侵入することが可能になります。この手法の恐ろしさは、正規の更新プロセスを通じて配信されるため、通常のセキュリティ対策をすり抜けてしまう点にあります。

4. 認証情報の悪用

盗まれた、または漏洩したパスワードやアクセストークンを使用した侵入も増加しています。特に以下のようなケースが多発しています:

  • データ漏洩サイトで公開された認証情報の再利用
  • ブルートフォース攻撃やパスワードスプレー攻撃
  • 多要素認証(MFA)のバイパス手法
  • クラウドサービスのAPIキーやアクセストークンの盗用

パスワードの使い回しは今でも大きな問題です。ある調査によると、企業ユーザーの約60%が業務用と個人用で同じパスワードを使い回しているという結果が出ています。

初期アクセスを防ぐための実践的対策

初期アクセスを効果的に防ぐためには、多層防御の考え方が重要です。単一の対策に頼るのではなく、複数の防御策を組み合わせることで、攻撃者の侵入経路を最小化できます。

技術的対策

  • 次世代アンチウイルス(NGAV)やEDR(Endpoint Detection and Response)の導入
  • OSやアプリケーションの自動アップデート体制の構築
  • 侵入検知・防止システム(IDS/IPS)の導入
  • ゼロトラストアーキテクチャの採用 -認証とアクセス制御の強化
  • 多要素認証(MFA)の全面導入

人的・組織的対策

技術的対策だけでは不十分です。人的要素も含めた総合的なアプローチが必要です:

  • セキュリティ意識向上トレーニング
  • 定期的なフィッシング訓練
  • インシデント報告の文化醸成
  • パッチ管理プロセスの確立
  • 業界特有の脅威情報の収集と分析

初期アクセス対策の今後の展望

今後の展望としては、AIと機械学習を活用した初期アクセス検知技術の進化が期待されます。これらの技術は、従来の検知では捉えられなかった未知の攻撃パターンを識別するのに役立ちます。

また、ゼロトラストセキュリティモデルの普及により、初期アクセスに成功したとしても、攻撃者の横展開を制限することが可能になるでしょう。「侵入されることを前提とした設計」は、今後のセキュリティアーキテクチャの基本となっていくと考えられます。

最後に、初期アクセス対策は単発の取り組みではなく、継続的なプロセスであることを忘れないでください。攻撃者の手法は常に進化しており、防御側も同様に進化し続ける必要があります。

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