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攻撃者は侵入ではなく正門突破を選ぶのか?正規のID、パスワードを使った攻撃が急増

サイバー攻撃の主戦場が変わった

最近のサイバー攻撃において、攻撃者の戦術に大きな変化が起きています。かつては、ファイアウォールを突破したり、脆弱性を悪用したりする「侵入型」の攻撃が主流でした。しかし今、攻撃者たちは別のアプローチを選んでいます。

それは「正規のログインを装う」という方法です。つまり、システムに無理やり侵入するのではなく、正当なユーザーとしてログインするのです。この変化は単なる手法の違いではありません。セキュリティの概念そのものを問い直す必要性を示しています。

なぜこのような変化が起きているのでしょうか?

攻撃者が「ログイン」を選ぶ理由

攻撃者が侵入よりもログインを好む背景には、いくつかの明確な理由があります。

まず、検知されにくいという点が挙げられます。

正規の認証情報を使ってログインすれば、セキュリティシステムからは通常のアクセスと区別がつきません。侵入検知システムやファイアウォールは、不正なアクセスパターンを検知するように設計されていますが、正当な資格情報によるアクセスには反応しないのです。

次に、アクセス後の活動が容易になります。侵入した攻撃者は、権限昇格やラテラルムーブメント(横展開)に時間を費やす必要がありますが、正規のアカウントでログインすれば、そのユーザーの権限が最初から使えます。特に管理者アカウントを奪取できれば、システム全体へのアクセスが可能になるのです。

アイデンティティ(認証情報)攻撃の主な手法

では、攻撃者はどのようにして正規の認証情報を入手するのでしょうか。

フィッシング攻撃は依然として最も効果的な手段の一つです。
巧妙に作られた偽のログインページに誘導し、ユーザーに自らIDとパスワードを入力させます。最近のフィッシングメールは、本物と見分けがつかないほど精巧になっています。

パスワードスプレー攻撃も増加傾向にあります。これは、よく使われる簡単なパスワードを多数のアカウントに対して試す方法です。アカウントロックを避けるため、一つのアカウントに対する試行回数を抑えつつ、広範囲に攻撃を仕掛けます。

さらに深刻なのは、情報漏洩で流出した認証情報の悪用です。
インフォスティーラーや過去のデータ漏洩で流出したIDとパスワードの組み合わせは、闇市場で取引されており、攻撃者はこれらを使って複数のサービスへのログインを試みます。

組織が取るべき対策

アイデンティティ攻撃に対抗するには、従来とは異なるアプローチが必要です。

多要素認証(MFA)の導入は最も効果的な対策の一つと言えます。パスワードだけでなく、スマートフォンアプリやハードウェアトークンによる追加認証を求めることで、たとえパスワードが漏洩しても不正アクセスを防げます。

パスワードポリシーの見直しも重要です。単に複雑さを要求するだけでなく、パスワード管理ツールの利用を推奨し、定期的な変更を促すべきでしょう。また、流出したパスワードのデータベースと照合し、危険なパスワードの使用を検知する仕組みも有効です。

さらに、ログイン行動の監視と分析が欠かせません。

通常と異なる場所からのアクセス、異常な時間帯のログイン、普段使わないデバイスからの接続など、不審な兆候を検知して警告するシステムを導入することで、正規の認証情報を使った攻撃も発見できるようになります。

サイバーセキュリティの最前線は、もはや境界の防御だけではありません。
認証情報の攻防こそが新たな戦場なのです。私たちは、この現実を直視し、適切な対策を講じる必要があります。

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