2025年に予想されるサイバー脅威の進化
みなさま、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。昨年は年中サイバーセキュリティのニュースが話題になり、セキュリティの意識が高まった人が多いでしょう。せっかくですので今年最初の記事は2025年のサイバー脅威を、インドネシアの例を用いて解説していきます。 2025年は、インドネシアを含む世界中の国々にとって、サイバーセキュリティの観点から非常に挑戦的な年になると予想されています。通信情報システムセキュリティ研究センター(CISSRec)の代表であるプラタマ・ペルサダ氏は、技術の進歩と複雑さに伴い、サイバー脅威が拡大すると警告しています。
特に注目すべき脅威として、以下の5つが挙げられています:
エージェンティックAI:人工知能(AI)技術の発展により、サイバー攻撃がより洗練され、複雑になる可能性があります。AIエージェントは攻撃の自動化や精度向上に利用される可能性があり、従来の防御を突破する能力を持つ可能性があります。
AIベースの詐欺とソーシャルエンジニアリング:AIを利用したディープフェイクや合成音声技術の進歩により、フィッシングやなりすまし詐欺がより巧妙になり、検出が困難になる可能性があります。
進化するランサムウェア攻撃:AIの使用により、ランサムウェアの機能が適応し、将来の耐性を持つように進化する可能性があります。これにより、攻撃の追跡と対処がより困難になる可能性があります。
サプライチェーン攻撃:ハッカーがオープンソースエコシステムや第三者企業を標的にし、大企業への攻撃の入り口として利用する可能性があります。
イデオロギーや政治的アジェンダに基づくサイバー戦争:特定の国家アクターによるスパイ活動や、政府、企業、重要インフラを標的とした攻撃が増加する可能性があります。
インドネシア政府の直面する課題
これらの進化するサイバー脅威に対応するため、インドネシア政府には以下のような重要な課題があります:
個人情報保護機関(PDP)の設立:個人情報保護法の実施を監督し、データ侵害に対処する独立した機関の設立が急務です。
政府規則の整備:個人データの管理と保護に関する明確な運用ガイダンスを提供するため、PDPに関連する政府規則の完成が必要です。
サイバーセキュリティ法案の加速:より包括的な法的枠組みを提供し、部門間の調整を強化するため、サイバーセキュリティとレジリエンスに関する法案の議論を加速する必要があります。
国家サイバーパスワード庁(BSSN)の強化:BSSNの機能と権限を強化し、サイバーインシデントの検出、対応、回復能力を向上させる必要があります。
政府環境におけるサイバーセキュリティの強化:すべての政府機関における厳格なセキュリティポリシーの実施、セキュリティシステムの統合、人材育成などが必要です。
対策の重要性と今後の展望
これらの課題に取り組むことは、インドネシアがデジタル時代の脅威に対応し、サイバー空間での主権を維持する上で極めて重要です。政府は、技術的な対策だけでなく、法的枠組みの整備や人材育成にも注力する必要があります。
サイバーセキュリティは国家の重要課題であり、政府、企業、市民社会が協力して取り組むべき問題です。2025年に向けて、インドネシア政府がこれらの課題にどのように対応し、国民のデジタルセキュリティをどのように確保していくのか、注目されています。
まとめ
2025年に向けて、サイバー脅威はますます複雑化し、従来の対策では十分に対応できない可能性があります。AIの進化、ランサムウェアの高度化、サプライチェーン攻撃の増加など、新たな脅威に対応するためには、政府の積極的な取り組みが不可欠です。
インドネシア政府は、法整備、機関の設立・強化、人材育成など、多岐にわたる課題に直面していますが、これらの課題に着実に取り組むことで、国民のデジタルセキュリティを確保し、サイバー空間での国家の主権を維持することができるでしょう。
昨年はサイバーセキュリティの問題をあまり考えなかった人もいると思いますが、今年こそはセキュリティの意識を高めていきましょう!